生理的欲求を満たすデザインとは?

Alps summer mountain landscape with lake.

「喉が渇いた」と感じてスーパーやコンビニなどでミネラルウォーターを購入するとき、人は何を基準に選んでいるのでしょうか?それはほとんどの場合、パッケージデザインを見て気に入ったものを選ぶ傾向にあります。わざわざそれぞれのミネラルウォーターの側面に記載されている表記を見て、産地や含まれている成分をチェックするようなことはしません。喉が渇いたら、その渇きをおいしく潤してくれるようなものを選ぶことで生理的欲求を満たすため、情報のみで満たされることはほぼないと言えます。
ですからミネラルウォーターのパッケージデザインをどのようなものにするかということは、大変重要となってくるわけです。特にミネラルウォーターの場合はジュースやコーヒーなどとは違って、各社の商品を比較しても味や成分に大きな特徴はありません。それだけに、いかに多くの消費者に手に取ってもらえるパッケージデザインを開発できるかというところが鍵となってきます。

生理的欲求は、薀蓄では満たされない -サントリー天然水 ヒットするデザイン
いいパッケージデザインとは、消費者が思わず手に取りたくなるもの。そのためには商品と消費者との距離感が重要です。もし、サントリー天然水のラベルに山や氷だけが描かれていたとすると、そのデザインをクールなものと捉え、自分と距離を感じてしまう人もいるかもしれません。それを防ぐため、花や鳥のイラストを入れ、暮らしの中の身近な存在として受け入れてもらうよう工夫しました。

引用元:PRESIDENT Online
ミネラルウォーター市場で18年連続シェア1位を獲得している「サントリー天然水」は、消費者の生理的欲求を満たすパッケージデザインの開発に成功したひとつの例です。まず工夫されたのはその名称で、「天然水」という3文字を選ぶことにより自然のみずみずしさやフレッシュなイメージを抱かせることに成功しました。それまでは「名水」というワードがミネラルウォーター市場で多く使われていましたが、「天然水」というワードには「名水」よりもはるかに多くのプラスイメージが含まれているため、1991年の発売時より一貫して使い続けられています。
「サントリー天然水」のボトルデザインにも支持率の高い秘密がたくさんあります。まず特徴的なのは、山のイラストがラベルに描かれていることです。これにより消費者は自然をより近くに感じることができます。また、ボトル上部を覆っている氷のような模様は冷たい雪解け水であることを表現したもので、喉が渇いた時に飲みたくなるようなデザインへのこだわりが見られます。ボトル下部の波線は、中に入っている水があたかも動いているかのような効果を狙って描かれています。動きによって生きている印象を与えることができ、そこからも「天然」であることを表現しています。

こうした企業側の努力が実を結び、「サントリー天然水」は18年連続でシェア1位の座をキープしています。ミネラルウォーターと聞いてそのラベルを私たちが思い浮かべるのは、「サントリー天然水」のラベルデザインが常に私たちの生理的欲求を満たしてくれるものであることを証明していると言えるでしょう。
もちろん、最近はペットボトルの軽量化によって、握りやすく潰しやすいことも消費者が商品を選ぶ際のポイントとなっています。しかし生理的欲求を満たすボトルを開発するためには、やはりデザイン性を追究していくことが大切なのではないでしょうか。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加